#深夜の俺の戯言

昼間の戯言でも深夜テンション。

キャリア形成① 就職①

想定読者は

1. 未来の大学生

2. 未熟な大学生、悩める大学生

3. 親などの素人キャリア教育者

である。

ツイッターのフォロワーの関係上、2が極端に多くなると思うが、良いと思ったら拡散して欲しい。

 

記念すべき初回は「キャリア形成について」、特に「就職について」である。

 

そもそも大学卒業者(学部)のどれほどが就職を選択しているかというと、平成29年度のデータでは、76.1%の割合で、人数にすると432,333人である。

http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2018/02/05/1388639_1.pdf 文部科学省 学校基本調査 2018

ちなみに修士課程修了者は78.2%、博士課程修了者は67.7%が就職を選択している。

 

日本では、大学院生も「罰金制度」と揶揄されるように、学部生同様学費を払う。

「罰金」を払う同期がいる中、4年次で卒業して社会に出て働こうというのは立派である。

 

「就職」と大きく語り始めたが、はじめに、学部卒が就職する際にどのような傾向があるのか見ていきたい。文系理系間で職業選択傾向に差はあるのか、突き詰めれば「高校生の進路(キャリア)選択」の問題に踏み込んでいく。

 

数多くある企業等を産業や商業で分類したものを「業界」という。業界はその役割から大きく8つに分類される。具体的には「メーカー」「商社」「小売」「金融」「サービス」「ソフトウエア・通信」「マスコミ」「官公庁・公社・団体」であり、それらの詳しい説明はマイナビなんかがしてくれる。

https://shinsotsu.mynavi-agent.jp/knowhow/article/industry-list.html

これらの業界や、それぞれの下にどのような産業が分類されているのかを念頭に置いて、次のグラフを見て欲しい。

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これは、5つの分野別の卒業生が、20に区分された産業にどれくらいの割合で就職したのかを示すグラフだ(平成29年度 学校基本調査より古林作成)。

 

まず、いわゆる「文系」に括られる人文科学系と社会科学系について傾向を見てみる。

 

人文科学系と社会科学系の傾向は全体的によく似ている。

どちらも最も就職割合が高いのは卸売業・小売業で、20%近くを占めている。卸売業界は大手財閥やトヨタのグループ会社が大部分のシェアを占めていて、小売業はイオンに代表されるスーパーやコンビニ等が該当する。採用人数も多い。

 

次いで、金融業・保険業の占める就職割合がどちらの分野においても高い。銀行やナントカ保険のような会社だ。これらもかなりの採用枠がある。ただし社会科学系の方が人文科学系より4.2%割合高だ。経済学という専門を活かしている可能性がある。


それ以外の大半の業界における割合比は概ね同じである(「割合比」=(人文科学系のある産業における就職割合)÷(社会科学系の就職割合)<1±0.2)。


人文科学系>社会科学系(割合比>1.2)の就職割合となる業種は

教育・学習支援業、運輸業・郵便業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、その他サービス業 である。総じてサービス業が多い印象を受ける。特に教育・学習支援業は割合比が3.9と非常に高い。背景については後で簡単に触れる。


一方で 社会科学系>人文科学系(割合比<0.8)の就職割合となる業種は

建設業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、医療・福祉、公務 である。傾向として社会科学系の学生は、人文科学系の学生よりも専門を活かして就職するように見える。

社会学は建設業・福祉・公務とよく関連し、経済学は金融業、法学は不動産業や賃貸業、といった具合に、専門を活かしやすいように見える。


文系まとめ

・人文科学系と社会科学系における産業別就職割合の傾向は基本的によく似ている

・どちらも小売業界、金融業界の就職割合が高い

・人文科学系は社会科学系よりも教育業とサービス業の就職割合が高い

・社会科学系は人文科学系よりも専門を活かした就職をする傾向にある

 

 

次に「理系」に分類される理学系、工学系、農学系について見てみよう。

もう一度グラフを貼っておく。

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全体的に見て、分野別に就職割合の傾向が大きく異なる。また、理系分野における学術研究,専門・技術サービス業の就職割合は、文系分野のそれよりも高い。これらのことから、理系は文系よりも専門性を活かした就職をしていると言える。学部卒でもだ。

 

まず理学系について傾向を見ていこう。

最も就職割合が高いのは製造業で18.9%、次点は0.4%の差で情報通信業である。

またグラフには示していないが、製造業の中でも食料品・飲料・たばこ等嗜好品のメーカーを除くと、化学工業、石油・石炭製品製造業の割合が高くなる。これは(やや)専門を活かしていると言えそうだ。

 

それらの次に就職割合が高いのは教育・学習支援業の12.7%、卸売業・小売業の11.7%である。

教育業への就職割合が高いのは理学系の特徴でもある。理学系の学生は、その専門を活かした就職窓口の少なさから教員資格を取る場合が多く、そんな背景を反映していると考えられる。先に軽く触れたが、人文科学系にも同様な傾向と背景が考えられる。

(注: この統計において教員は公務ではなく教育業に分類されている)

 

…理学徒の私にはデータには現れない、学生たちの苦痛な叫びが聞こえるが、それはまた別の機会に。

 

次に工学系について。

パッと見ても特徴的なグラフであるが、上位3産業、すなわち製造業27.1%、建設業17.6%、情報通信業17.2%のみで就職割合は60%を超える。非常に専門に特化した就職ができていると言えよう。

資源に乏しくモノづくり産業でのし上がってきた日本において、製造業は国家経済の基盤である。そこへの就職割合が断然高い工学系は、言わずもがな、強い。


他の17の産業項目中、比較的高い就職割合を占めているのは卸売業・小売業(7.0%)、学術研究,専門・技術サービス業(6.0%)、その他サービス業(7.5%)である。

卸売業・小売業について、このグラフでは示していないが、全分野中で唯一工学系のみ、卸売業就職割合が小売業就職割合よりも高い。

また、学術研究,専門・技術サービス業に高い専門性を要することは容易に想像できる。


以上のことから総括して、工学系は非常に専門を活かした就職をする傾向があると言える。

 

 

最後に農学系について。


まず注目すべきは、どの分野よりも農業・林業への就職割合が高いことだ。農学系の中でも4.3%と決して就職割合が高いとは言えないが、専門を活かした就職と言えることは疑いない。


そして理学系・工学系と同様、製造業への就職割合は高く、20.4%である。

反対に理工系と異なる点、すなわち農学系の特徴は、情報通信業への就職割合が低く(4.7%)、卸売業・小売業への就職割合が高い(17.8%)ことだ。この特徴は理工系よりも文系の特徴と似ている。


また、公務への就職割合も全分野中もっとも高く、11.9%を示す。

しかしどう言った経緯で農学徒が公務を志すのか、私にはアイデアがない。農学徒はじめ、皆様からの意見を聞きたい。


農学系についてまとめると、専門を活かした農業・林業への就職が見られる一方で、製造業や小売業界への就職割合が高いといった、文理それぞれに見られる特徴を有する。これは農学部の入試形態を反映している可能性がある。

 

理系まとめ

・分野ごとに就職する産業の傾向は大きく異なり、文系よりもずっと専門性の高い就職をする

・中でも工学系は非常に専門に特化した就職をする

・農学系は農業・林業への就職が一定の割合見られ、文理それぞれに見られる特徴を有する

・理学系は就職窓口の少なさという背景から、教育業界への就職割合が比較的高い

 

 

総括

つまりこういうこと↓

・文系は職業選択を先延ばしできる!!!

・理系は専門を活かして就職する覚悟を持て!!!

 

多くの日本人は高校1年か2年で「文理選択調査」のような紙切れを提出する。その選択が数年後にどのような形で影響するのか、ここまで考えられるだろうか?気付けるだろうか?

「数学ができるから理系/できないから文系」のような短絡的思考から導かれる結果は、自分の描いた青写真とは全く違うことになりかねない。文理選択や大学の学部選びも本来は慎重にせねばならなかったのだ。

 

だから高校生をはじめ、未来の大学生に言いたいことは、「文理選択のメリットデメリットをよく考えろ」「理系になるなら専門を仕事にする覚悟を持て」ということ。

すでに文理が決まってしまった大学生や受験生に言いたいことは、「現状を受け入れろ」「(理系は特に)傾向を分析して大学で専門を磨け」ということ。

親などの素人キャリア教育者に言いたいことは、「社会人の目線から文理選択のリスクを提示してやれ」ということ。

 

 

というわけで、自分の進む道が少しは見えてきただろうか?高校生はここまでできれば上出来。

大学生は、次の段階。就活を始めよう。

4年で卒業したその春、どんな自分になりたいか?そのためにはこれから何をすべきか?

 

一緒に考えていきましょう。

 

 

追記

今回触れなかった教育、図書館、医学、芸術系等についても、機会があればまとめたい。もっとも、資格が得やすい学部学科ではその産業へのバイアスがかかることは当然であろうが。

芸術系については最近少し興味があるため、調べてみようと思っている。

 

 

また、グラフに示さなかったより詳細なデータも、以下のリンクから確認できる。

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000031656101&fileKind=0

 

今回作成したグラフだが、凡例や横軸の文字が見づらい。iPhoneのエクセルアプリで作ってみたがイマイチだめだ。時間ができたらPCで描き直して差し替えます。