#深夜の俺の戯言

昼間の戯言でも深夜テンション。

気になる女に彼氏がいた話

掲題の通りであり、それ以上でも以下でもありません。

 

金曜の朝にその彼女の友人から、「土曜に彼女と飲むけど来る?」とLINEが入り、これは気合を入れて行かんといけんぞ、と十二分に肩回しをして飲み会に臨みました。

 

シャワーを浴びて髪をリセットし、ドライヤーで癖をつけるように丁寧に乾かし、化粧水を塗り、髭を剃り、眉も整え直し、BBクリームで綺麗な白い肌を演出し、コンシーラーでシミやニキビ跡を隠し、ハイライトでデコや鼻や顎を立体的に見せ、ヘアオイルを塗り、ワックス乗りが微妙な日にも関わらず無理やり仕上げ、ぐうキュン眼鏡をかけ、シルバーネックレスも付け、爪を先日バチバチに磨いておいて良かったと思いつつ家を出ました。

 

つまり、120%の出力で臨みました。現段階の自分の出来うる全てをぶつけました。

 

ミドルノートは30分くらいでよく香るので、約束の30分前に香水を振りました。

 

指定された店は客単価3000円ポッキリの2時間飲み放題付きで、お世辞にもいい感じの店ではありませんでした。

 

道に迷ったそうで、5分くらい遅れて彼女が来ました。顔はぐうタイプだなと思いました。

取り留めもない話をしようと努めました。私は緊張から手が動きっぱなしで、箸袋を使って箸置きを作っていました。

 

さらに10分くらいしたところで友人が来ました。ようやく開会です。

 

以前彼女に会った際、相手がいないことは確認済みでした。当時、交際を申し込めるような関係になかったので、ビビリな私は「相手ができるまで遊んでください、できればそのレースに出走させてください」となんとも情けないお願いをしていました。したがって、その後彼女に相手ができたかどうかを確認することが、優先事項でした。

 

あるタイミングで、友人が惚気話を始めました。この人には相手がいます。

「でもいまは結婚とかいいかなあ」とか宣うので、「それはいる側の余裕だろ」と私は突っ込みました。彼女も「そうだそうだ」と便乗しました。

 

このとき私はまだ負けていないことを悟りました。彼女にはまだ相手がいない。これは全然ワンチャンあるぞと。

 

安心から緊張も解け、適当に喋って2軒目に移ることになりました。そのタイミングで、もう一人共通の友人が呼ばれました。その友人は男性で、少し前、彼は彼女に気があったことを知っていたので、内心は呼びたくなかったのですが、それをはっきり言わなかったことを少し後悔しました。

 

2軒目のバーで飲みつつ、私はお手洗いに立ちました。

戻ってきたタイミングで、「私の誕生日プレゼントに何を貰おうか迷ってる」という極めて不穏な話を彼女がしていました。

 

おいおいおい。

それはお前、リアクションが違うだろ。

なーーーにが「そうだそうだ」だ。

 

「あ、ごめん、これまだアンオフィシャルなんだよね」

残りの2人が言いました。

 

アンオフィシャルもクソもあるか。

付き合ってる時点でオフィシャルなんだよ。

 

「職場の悪い男に引っかかりました」

リアクションのために何かを発音する元気がなかったので、カクテルをちびりちびりと飲みました。

 

そのあとはなんか色々話してました。

誕プレに財布が欲しいと言ったらハイブラの店に連れてかれてビビったとか、うまぴょいっぽい話をしてた辺りでしんどくなったので、もう帰ろうかな、と思いました。

 

こいつらはなんて残酷なんだと思いました。

彼女な少なくとも、私が彼女を良く思っていることは理解しているはずです。

彼女の友人には何度か相談していました。

共通の友人に直接話したことはありませんが、彼女の友人はお喋りなので、伝わっていてもおかしくはないと思っています。

 

この世は弱肉強食です。

弱きは負け続けるのです。

言われようのない敗北感、劣等感に襲われました。

 

ヤケクソになって強めのカクテルを頼みました。

かなりハイペースで飲み干しても、全く酔いは回りませんでした。

 

各々が帰路についたころ、彼女の友人から

「いろいろ黙っててごめんねw」

とLINEが来ました。

 

ごめんねじゃねえよお〜〜

120%の最大出力でバチバチにキメていった俺が馬鹿みたいじゃねえかよお〜〜〜〜

 

強がって

「まー、時の運だし」

と返しました。

 

最寄り駅に着き、思わずコンビニでビールを買いました。それを飲んだ瞬間、一気に酔いが回ってきて、ひどく空虚な気持ちになりました。

 

「いまになってつらい」

と彼女の友人に送りつけました。

 

翌朝、彼女の友人から

「時差www」

と返信が来て、そっと既読スルーをかましました。

 

その夜の話は以上です。

 

小中学生の頃に味わいがちなこの気持ち。

言われてみれば自分は味わったことがありませんでした。

 

しかし悲しいかな、

「好きです」というたびに、その言霊が軽くなっていく感覚。

付き合って別れるたびに、失恋が軽くなっていく感覚。

このプチ失恋も、27歳の私の脳によって、日常の景色として処理されようとしています。

 

その瞬間を忘れないよう、恥ずかしくなるまでここに刻んでおきます。