#深夜の俺の戯言

昼間の戯言でも深夜テンション。

一年

あれから一年が経った。

 

2022年11月23日。

その日はサッカーW杯の日本代表グループリーグ初戦で、ドイツと試合の予定だった。

嫁は仕事に行き、夕飯は大戸屋で食べる約束をした。

勤労感謝の日で休みだった自分は、発売直後のポケモンヴァイオレットをプレイし、約束時間の20分ほど前にストーリーをクリアした。

 

結婚式まで1ヶ月を切り、式場との打ち合わせに追われていた気がする。

 

席に着き、私は「チキンかあさん煮定食 味噌味」を頼んだ。

 

ホールスタッフが席を立つと、彼女は徐に口を開くのだった……。

 

 

 

 

 

「結婚式をやめたい」

 

 

 

 

 

 

それが究極意味するところは離婚であり、彼女には固くその意志があった。

 

それから1ヶ月、彼女の心をなんとか温めようと奔走したが焼け石に水、いや焼けてはおらず冷め切っていたが、何の意味もなく、絶望の中、離婚届にサインした。

翌12月19日、離婚届は受理され、8ヶ月に満たない婚姻期間は幕を閉じた。

 

 

つらかった。それはもう間違いなく。

ただ、賃貸やらインフラの解約、引越し手続き、会社へ届け出る身上異動届の準備、結婚式のキャンセル手続など、そういった雑務で気を紛らわせていた。

 

破局の原因を自分に求め、大いに責めた。メンクリにも通ったが、当時打ち込み始めたギターが沈んだ心を救ってくれた。

 

 

メンクリの先生は、「また季節が巡って冬になると、思い出してしまうかもしれません。辛くなったらまた来てね」と声をかけてくれた。

 

一年が経った。また冬が来る。

 

日に日に寒さを増す日々に呼応するように、あの日の記憶がフラッシュバックする。

チキンかあさん煮定食の味。帰路の雨音。数m離れて後ろを歩く俯いた彼女の姿-。

 

 

 

 

 

春が来て日照時間が延びるにつれ、メンタルは回復していった。2週間だけ恋もした。

この頃はリコンナーズ・ハイだった。(なんだそれ)

 

とにかく自分をぶち壊したかったし、金を使いたかった。ある意味、自傷欲求に近かった。

 

手始めに30万のギターを買った。

「自分のためだけに金を使えるぜガハハ」

くらいの感覚でイキってたと思う。

でも今は君に救われている。あの日買ってよかった。

 

GW明けにパーマをかけた。前からやりたかった髪型ができて嬉しかったし、もし職場でなんか言われたら暴れてやろうと思っていた。

職場ではなんも言われなかった。むしろ吹っ切れたことを褒められた。

 

夏にはレーシック手術をした。電話越しに話聞くだけ聞こうと思ったら、ノリだけで手術することにしてしまった。ほんと、あのときは何かが身体を乗っ取っていたと思う。

後悔はしていない。メガネという自分のアイデンティティをぶち壊したかった。

🤓←この顔文字が自分を見ているようで死ぬほど腹立つので、自己破壊衝動には前々から駆られていた。

 

こうして、全裸でギターを弾いてるだけでもトータルコーデ70万の男が誕生した。

 

 

自分の見栄えに金を使うようになったと思う。まあ相手もいないし実家暮らしだから当たり前なんだけど。

 

美容院に金をかけるようになった。いいワックスとかヘアオイルとか取り揃えるようになった。化粧用品を買うようになった。爪磨きを買った。

 

なんでだろうね。まず美容に走った。

今にして思っても、別にモテたいわけじゃない。

なんというか、来るべき瞬間に、自分の好きな人が自分を好きになってくれる準備とでも言うべきか。

浅ましさや男の性欲に辟易としつつ、整髪や化粧が上手くいくとテンションが上がる。

 

の割に高い服を買う金はないので、ユニクロで誤魔化している。ブランド知らんし興味ないし。

 

 

自分をよく知る女性陣の大半が「メガネの方がいい」というので、11月にメガネを作り直した。

こうやって他人の容姿にズケズケと意見するのは女と相場は決まっている。

事実、めちゃくちゃ似合っていた。

 

またこの顔🤓に戻らないように誤魔化し誤魔化し生きているのが近況…なのだろうか。

 

 

 

最近は暇さえあればギターをしている。

まだまだ学ぶことが多いから、どんどんと上達していくその過程が楽しい。

良い意味で自分にも諦めがついており、他者比較により落ち込むこともない。極めて健全に趣味をしている。

「27歳は音楽を頑張る」と裏テーマを掲げており、それにそぐわない活動ができている…かな。

 

 

離婚という最大のテーマがあるのだけれど、あのイベントのおかげで、少なからず自分は生まれ変われたと思う。

留年した時にも同じようなことを思った。明確に思考が一皮向け、パルス波のように突然、断続的に大人になった記憶がある。そんな急激な成長を今年も感じた。

 

 

 

あれほど人を愛おしいと、憎ましいと思ったことはない。

 

一年が経って、どうだろう。

 

彼女の顔の輪郭すら朧げになってきている。

名前を思い出すのが、非常に憚られるというか、忌避反応の一種だろうか。もちろん思い出せるが、そのシナプスを頻用していない自覚がある。

 

忘却という脳機能は、こういう別離や死別のために用意されているのだと思う。進化ってすごいね。

 

 

一年の節目は割と自由に設定できる。

自分の場合、正月と自身の誕生日に設定しているが、やはり離婚記念日も立派な節目になりそうだ。

 

 

あれから一年が経った。

 

 

お元気ですか。

彼氏はできましたか。

今度の彼氏のセックスは上手いですか。

幸せな人生を歩めそうですか。